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「君への思い」の続編?というかおまけです。
アニメ版のレイちゃんが出てきまする。
待ち合わせ時間から約30分経緯。
レイちゃん、もうすでに堪忍袋の緒は切れちゃってまぁす。
内心でそんな実況が流れるのはもう末期の証拠。
ゆらり、とゆらめくオーラが例え燃え盛る炎を象っていたとしても気にする余裕なんてない。
「はぁっはぁっ!ごっめーーーんっ!レイちゃん!」
高めの声は、待ち人その人物。
私はありっっったけの怒りを眼に注いで、その人物をにらみつけた。
「う~さ~ぎ~!!!何分待たせんのよあんたわーーーーーー!!!」
あんたへの気持ち ~ほっとけないんだから~
「だから、ごめんってばレイちゃーん。そんなに怒んないでよーっ」
「怒るわよっそりゃもう全力で怒るわよ!
今日は何でまた、30分も遅刻したの!」
「あはははは、いやー補修が長引いちゃってさー」
「いやーじゃないわよ、もうみんな先に行っちゃたわよ!まったく!!」
ぎゃんぎゃんといつもの言い合いをしつつ、通りを歩く。
通行人が私たちを避けているのは、もはや日常茶飯事なので気にしない。
相変わらず遅刻したのに反省のはの字もないうさぎには、
怒りを通り越して呆れるけれど、
でも内心、いつも通りに戻ってホッとしていた。
いつも通りに見せかけて、
全くといっていいほどうさぎの元気がなかったのは、最近のこと。
折角戦いが終わって、衛さんも戻ってきたって言うのに、
上手くいってないのかしら、と心配していた理由は
衛さんから事情を聞けば、深刻なもので、
2人はちゃんと元に戻るかしらと本気で心配していたのだけれど、
どうやら、ちゃんと収まったみたいで、
うさぎの普段どおりの、元気を通り越しての能天気さが戻ってきたのは喜ぶべきことだった。
「んじゃ、今日のバツゲームは、このレイちゃんを30分待たせたことで、
30分ゲームし放題に決定ね。もちろん、全部うさぎの奢りよ」
「そっそんなめちゃくちゃ言わないでよー!!」
「待たせたうさぎが悪いっ!言い訳却下!」
「ううー折角お金ためてるのにー」
「お金をためる?うさぎが?」
ぶつぶつと放たれた言葉に、思わず街中を歩いているのに叫んでしまうくらいの衝撃をうけた。
「そんなに驚くことないじゃないー」
「だって、あのうさぎが!?無駄遣いの王者的なあのうさぎがお金をためるなんて……
あ、新たなる敵の襲来の前兆としか思えないわ!
急いでみんなに知らせなきゃ!」
半分以上本気で言った発言に、うさぎはむーっとむくれていたけれど、
急に真面目な顔になって、私の方を向いた。
「……あのね。お金ためてるのはね……
アメリカに行くためなの」
「アメリカ……?」
「うん」
「え、もしかして衛さん……」
しまった。やぶへびだわ。そう思ったときにはすでに言葉が出ていた。
だけど、しゅんとするかと思ったうさぎは、にっこりと笑ってただ頷いた。
「うん。来週出発するんだって。予定より半年遅れての留学だから、
いろいろあったけど、大丈夫だってメドがたったから、行くんだって」
笑って話すうさぎに、無理は感じられない。
だけど、疑問は拭えなくて。
「うさぎは……それでいいの?」
折角やっと会えたって言うのに、また離れ離れなんて、いくらなんでもキツすぎるわ……。
私の思いを知ってか知らずか、うさぎは微笑んで、きっぱりといった。
「うん。いいの」
「うさぎ……」
「まもちゃんもね。あたしのことを考えてくれて、
留学もなにも一生に一度のチャンスじゃないんだから、
ここに残るよっていってくれたけど……。
だけどね。あたしが言ったの。
まもちゃんの夢を叶えるために、行ってきてって」
静かに言ううさぎには、以前のような寂しさは感じられない。
本心から、そう願っているように、見えた。
「えへ。まあかっこいいこといっても寂しいのは寂しいんだけどねっ
だけど、また前みたいに敵が現れることもしばらくないだろうし、
ずっと……あたしばっかりまもちゃんに甘えてちゃいけないから、
あたし今度こそほんとに、待つことにしたの
そんでもって、お金ためてまもちゃんに会いにいくことも決めたんだ。
あ、これまもちゃんには内緒なんだけどね」
くすくすと嬉しそうに笑ううさぎは、もう以前のような弱さは微塵も感じられなくて。
一皮向けた本当の強さを手にしているような、そんな気配を感じた。
「あんたも、成長したのね……」
ドジで泣き虫でどうしようもないほどおっちょこちょいなうさぎ。
だけど、今までのことで誰より成長したのは、うさぎ、あんたなのかもしれないわね。
「え?何かいった?」
「なんでもないわよ。それより、
衛さんがいなくて寂しいからってまた泣かないようにしなさいよ」
「あ、それは大丈夫!」
何か文句が返って来るかと思ったら、拍子抜けするほど明るい声で返されたので
思わずこけかける。
「……なんで、大丈夫だっていえるのよ……」
「だって、レイちゃんたちがいるもん♪
今度は寂しくなったら、すぐに知らせるから、付き合ってよね!」
そうやって、腕を絡めてくるうさぎはとても嬉しそうで。
もう怒鳴る気分も吹っとんでしまったわ。
「……気が向いたら、しか付き合わないわよっ」
「えー。いつも付き合ってよーう!」
また最初みたいな言い合いをしながら、街を歩いていく。
だけど、どっちかっていうと、今の分はうさぎにあるみたい。
何を言っても笑っているうさぎに思うことは一つ。
まったく、あんたってばほんと調子いいんだから!
……だけど、だからこそ、なのかしら。
ほんと。ほっとけないのよね。
あんたは。
fin
あとがき(反転)
さてはてー。「君への思い」続編(?)の「あんたへの思い」でした(笑)
レイちゃんはメンバーの中で特に衛とうさぎの仲裁役っていうか
取り持ち役っていうか、そんなポジションにいるような気がしてなりません。
本当に2人のことを真剣に考えているところがステキすぎます。いい子だーーっ!
レイちゃんいなけりゃ、うさぎちゃん、なかなか気持ちの整理がつかなかったと思います。
はっきりきっぱり、言うべきことは言う。
そんなアニメレイちゃんが大好きです。いやほんと。
まもちゃんの留学ですが、この話を書いた途中までは
このまま日本の大学に残るという結末を書こうとしていて、
(そのためにどれくらい院生でいられるのか調べたほど(爆))
そのかけあいの台詞まで考えていたんですが、
衛が日本に残るのは確かにうさぎにとって嬉しいことだし、
いいことだけれど、ほんとにそれでいいのかな、と。
どっちかっていうと、今回の事を受けて、うさぎちゃんは、今度は自ら、
まもちゃんに留学を進めるんじゃないかな、と思って
路線変更となりました(爆)
まあ、残るって選択肢もアリだとは思うんですけどね。
人それぞれ、答えはあると思いますが、
私の中ではどうやらこれが結論のようです。
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