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なんてことのない日々


アニメまもちゃんの高校生時代を想像して書いてみました。
とりあえず、アニメでは男女共学の公立っぽい設定だったので踏襲してます。
そして、SSの132話に出てくる、沙織さんが出てきます。
持ってる方は見てからのが、よく分かるかもでする。
OKって方はどぞ。
















なんてことのない日々




薄暗い校舎から、一歩外に出ると、
すっきりと晴れた青空が広がっていた。
明るく光る太陽が眩しい。
期末テストという夏休み最後の難関から開放された気分からか、
そういえば、もう夏なんだな、と、たわいもないことを思った。

「地場君」

何気なく空を見つめていると、後ろから声が聞こえた。
振り向くとその相手はセミロングの髪をなびかせ、
ひらひらと手を振りながら、こちらに近づいてきた。
「沙織……か、その顔だと、今回も満点確実ってところかな?」
「あら、そういう地場君は今回ダメだったのかしら?」
「いや、ベストは尽くしたさ。だけど、いつも沙織には適わないからな。
 下手に出ないと、あとで何言われるか分かったもんじゃないだろ」
「なによそれ」
ころころと笑う彼女の声につられて口も笑みの形になる。
成績優秀で、いかにも優等生なのに、話すと少しズレている、
そんな彼女とはそこらの同年代の男子より、気軽に話せるのがよかった。
「テストももうこれで終わったし、あとは夏休みね。
 地場君は何か予定とかあるの?」
「べつに……大した予定はないな」
「もう、つまんない返答ね。いろいろあるでしょ。
 海に行くとか、プールに行くとか」
「海か……そういえば、あんまり行ったことないな」
「あら、海嫌い?」
「いや、別にそういうことはないけど」
「じゃあ、今度行きましょうよ。海。お弁当持って」
沙織の表情が何故だかパッと明るくなった。
その顔がいつもの妙に大人びた優等生の姿とはかけ離れて
子供っぽかったので、つい笑ってしまった。
「?なによ?なにがおかしいの?」
「いや、沙織も高校生らしいなと思ってさ」
「……ということは、いつもの私は高校生らしくないってことね?」
「そうともいうかもな」
「もう、ひどい!」
むくれる沙織の顔を見て、また笑う。
こういう、たわいのない時間が、唯一自分が今ここに、「地場衛」として、
この社会で生きている、と感じられるときだった。
学校にいても、いや、自分の部屋にいる時でさえも感じる、
自分が自分でないような、何か大切なことをまるごとどこかに落としてきたような、
あの空虚感。
それは、今でも時々見る、美しい女性が囁く夢が関係しているのだろうか。

「地場君?」

考えに没頭しすぎていたらしい、気づくと、沙織が不思議そうにこちらを見ていた。
「……あ、うん、ごめん。ちょっと考え事してた。で、なに」
「だから、行くの?海。
 行くんだったら、日にちとか時間とか決めなくちゃいけないから」
もう、行く日取りの話になっているあたりが、
理知的というか、合理的というか、いかにも沙織らしくて、苦笑する。
「ああ、折角の誘いで嬉しいけど、悪いけど、遠慮するよ」
「あらそう?忙しいの?」
「忙しいって訳じゃないけど……なんとなく、な
 沙織も、俺なんかとじゃなくて、“高校生らしく、”彼氏とでも行けばいいんじゃないか?」
「……あのね、いたらあなたに声なんてかけるわけないでしょ」
からかうつもりでいった言葉を間に受けたのだろうか。
少し抑揚のない口調で、いったあと、沙織は黙ってしまった。
なんとなく、話を続けるのも気まずかったので、そのまま会話は途切れる。
風の音と葉がこすれる音、そして遠くで聞こえる笑い声があたりにさざめいていた。
「そういえば、さ」
ふいに、おずおずとした気配を含んで、沙織が沈黙を破った。
「なに?」
沙織は少し迷ったような素振りを見せたけれど、
決心したようにこちらを向いた。

「地場君って彼女、つくらないの?」

不覚にも、虚を、つかれた。
沙織の口からそんな言葉が出るとは思わなかったので、驚きのあまり、
言葉が出ない。
言った本人も、気まずかったのか、ツンと横を向いて
きまり悪そうにフォローする。
「か、勘違いしないでね。だって地場君、告白されても、即効振るって有名なんだもの。
 もてるのにもったいないなって、そう思ったから」
「そっか……まあ……確かに、普通なら、そうかもな」

ふと、あの夢に出てくる美しい人を思い出す。
そう、俺は恋という感情が理解できないんじゃない。
ただ、俺の意識があるなしに関わらず、
その感情は、もうすでに、誰かに……特定の誰かのためにとっておかれているような、
そんな感覚があるんだ。
そんな感覚、おかしいかもしれないし、
きっと人に言っても、分かってもらえるとは思えないので、口には出さないけれど。

「まあ、好きな人がいるってことにでもしておくよ」

質問の答えにならない答えを言って、小さく歩き出す。
「なによ、それ」
質問を投げかけた人物は不満げに声を漏らしつつ、後についてきた。

恋も現実も、感情も、いつか真実にたどり着く時が来るのだろうか。
消化できない空虚な現実から目覚めるのは、もう少し、後のことになる。



fin



あとがき。(はんてん)

……んー中途半端。
ま、いつものことか。(納得すな)
えっと。アニメ版の高校生まもちゃんを空想してみましたー。
ここに出てくる沙織さんはあれですよーSSの132話、
「お似合いの2人!うさぎと衛の愛」の話で出てきた方です。
あの話、まもちゃんの日常や人間関係がかいま見えるようでかなり好きですv(やっぱり絵はともかくだが……orz)
ふつーのにーちゃんなまもちゃんが好きな私は多分異色。(ほんとにな)
つか、大学の友人の前でも騒がしい2人を目の前に落ち着いてるまもちゃんはすげぇよ……。

その劇中であった「衛君は高校時代からの同級生」
「あの頃から勉強じゃ君にはかなわなかった」発言から、想像したもんです。
原作の高校生バージョンももちろん好きですが、
アニメ版は高校時代が全然ないので、いろいろ想像できますねっ!
沙織さんはきっと高校時代からまもちゃんのこと好きだったんだろーなーとか。
そして、まもちゃんは全くそれに気づかずにふつーに話してたんだろーなとか。
まもちゃんってSSの頃になると天然くさいですが、
それは、うさぎがいて十分満たされてるから、頭回らないだけかもなー
などと思ってみたりもしてます。(謎な言いまわし)
高校時代は、あの夢のことで頭いっぱいで、他の子に目が向かなかったイメージ。
……うん、だからつまるところ、まもちゃんはうさちゃんに一途で、
結局この話もまもうさなわけですよ!ってなことで。(を)

 

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